京都銭湯の楽しみ方 その2

ああ、雅なり―

京都の銭湯で心惹かれるのは、浴室を彩る数々のタイルたち。床から浴槽の周りにいたるまで、彩色豊かで形も凝ったタイルが、ふんだんに使用されているのだ。

 

タイルに凝るのは、京都ばかりというわけではない。東京をはじめとする関東周辺だって、「九谷焼き」という金沢産の美麗な伝統工芸品を見ることができる。鶴、亀といったおめでたい動物たち、また桃太郎や浦島太郎などのお伽話、はては弁慶に牛若丸といった、歴史上の1舞台まで。

しかしこれらが用いられるのは壁の境や浴槽の上、数10cm~数mほどの幅で、いかにも存在感を主張するようにはめ込まれているのが定番。それ以外はというと、意外にシンプル。ある種1点豪華主義ともいえるのが、関東圏での特徴だ。

 

伝統的な京都の銭湯は、これとはまったく趣を異にする。足元の床から浴槽の縁に底、柱、はては脱衣所の洗面所まで、ありとあらゆるところが、色も形も凝ったタイルで埋め尽くされているのだ。しかもその種類数が、半端ではない。10種・15種はあたり前、多いところだと実に30種以上のタイルが使用されている。互いに個性を主張しながらも不思議と美しい一体感を演出、この空間は京都圏以外では味わえない贅沢だ。

 

京都の銭湯を尋ねたなら、ぜひそのタイルにも注目してほしい。庶民の空間が描き出す雅の世界を、たっぷりと堪能できるはずだから。