京都の銭湯について

もう、80年になりますやろかー
京都の銭湯でその歴史を尋ねると、このような答えが少なくない。日本が世界に誇る千年の都・京都。人々を惹き付けてやまない文化遺産たち、それらが今に残るのは戦禍を免れたことによるものだが、それは町の銭湯とて同じこと。築70年に80年、はては100年という銭湯がいまだあちこちに見られるのが、ここ京都なのだ。

これ、なにげにすごいこと。たとえば東京の場合、現存する銭湯の多くはまだ50年程度。およそ800軒残るうち、戦前に絞ると10か、せいぜい20軒。大正には大震災、昭和には大空襲と幾多の災難に見舞われた東京銭湯。大部分が焼き尽くされてしまったものだから、その歴史は意外に”新しい”。古そうに見えてもそのほとんどは戦後、昭和の高度成長期以降に建てられたものなのだ。
しかも進む客離れ、忍び寄るは老朽化。毎年多くの風情ある銭湯が姿を消し、東京で古き良き一軒に出会うのは難しくなってきている。

そう考えると、一見なにげない京都銭湯がいかに貴重なものか、お分かりいただけるのではないだろうか。古刹の名所が世界遺産なら、銭湯はさながら京都の町遺産だ。ガイドブック片手の世界遺産めぐりも、京都の素敵な楽しみ方。しかしより深く京都を知りたいならば、今宵はちょっとの好奇心と小銭を持って、銭湯へ出かけてみてはどうだろう。
地元民と一緒にほっこり温まれば、ゆったり流れる和の時間。肩肘張らない素顔の姿に、もっともっと京都が好きになること間違いなし。